特別報告1「開かれた美術館ー地域と共に歩む金沢21世紀美術館の活動ー」(金沢21世紀美術館館長・秋元雄史氏)

  • 前置き
    • ジャンルは現代美術。
    • 現代美術の固定ファンは全国でも4万人ほど。それにフローのファン(面白そうな展示であれば来る人)が7〜8万人程。
    • 当館は130万人の来客がある。6割が県外。4割が県内。当館以外にも東京を中心に100万人超の館があるが、全て運営の改革による。
    • 金沢は45万都市。38のミュージアムがあるが伝統的作品を置くところがほとんど。保守的な気質で現代美術とは正反対。
    • どのような取り組みをすることで地域に受け入れられてきたか。
  • コンセプト
    • 世界の「現在(いま)」とともに生きる美術館
    • まちに生き、市民をつくる参画交流型美術館→リピータは地元民。地元民優先のプログラムを組む。
    • 地域の伝統を未来につなげ世界に開く美術館
    • 子どもたちとともに成長する美術館→現代美術はある程度の年齢になると既成概念から受け入れがたくなるので現代美術が好きな子どもを育てる。
  • 建物
    • 町に開かれた公園のような美術館がコンセプト。
    • ガラス張。シースルーで開放的。これまでの警備が厳重なミュージアムとは異なるイメージ。
    • 入り口も5カ所ありアクセスがしやすい。
    • 通路のような公園のような建物。入館者の3割はこのような建物に立ち寄っている。残り7割が作品鑑賞。
  • 組織
    • 総務課。学芸課。交流課。広報室。概ね財団職員。広報を重視していて、館長直結で5人の専任スタッフ。
  • 展示と関連事業
    • 企画4〜5本。デザインギャラリー4〜5本。建物に付随している恒久展示。市民ギャラリー→常時5〜6本が同時進行。
    • 関連して教育普及プログラムを実施。ターゲット別にプログラムを組んでいて対象をそれぞれ絞っている。利用者の想定。
  • 主なプログラム
    • 金沢アートプラットフォーム(町の中の空店舗を使って事業を行う)
    • ミュージアムクルーズ(市内小学4年生向)
      • 教育委員会・教員・ボランティア(クルーズクルー)・美術館職員で連携して実施。
      • ボランティアは厳しい研修を受けている。
      • ボランティアが小学生7人までの単位で一緒に美術館をめぐる。3時間。鑑賞する目をみにつけてもらうことが目的。
      • 参加した小学生が親と一緒にリピーターとして来館してくれる場合もある。
      • 子ども達が美術館にいる風景は、他の来館者にも好影響を与えている。
    • アートライブラリーミュージアム
      • 美術作品の中で、その作家が書いた絵本の読み聞かせをする。
    • 若者チャレンジプログラム(20才台の若者に社会参加をうながすプログラム)
      • 美術館の建物にはわせる形で朝顔を植える*1
  • 館長の役割
    • 学芸員には専門性を徹底的に深めるように言っている。加えて周りを見る目を持つようにと伝えている。
    • 周りを見る目を持たすのが館長の役割。事業計画を立て、館員が共有すべき方向性を示す。経営が重要。
    • 地域(金沢市)のビジョンを把握しタイムリーな企画を立て、実施するのも大事。

*1:写真見せてもらいましたが、すごい圧巻でした。うちの図書館にも何かはわせたい